シリーズ・ザ・生活習慣病

10弾

シリーズ生活習慣病 第10弾!2007.05月号

前回のお話で、「動脈硬化を進める可能性のある高尿酸血症を甘く見ないで…。」
と、お話しさせていただいたところ、
「痛風の原因になる高尿酸血症。なんとなく分かったような…?」
「もっと詳しく知りたいです!」
と、いうお声をいただきました(ありがとうございます)。

そこで今回はもう少し詳しくお話ししましょう。
プリン体代謝異常による高尿酸血症を基盤として繰り返し起こる、痛烈な急性関節炎発作・
腎結石・腎障害などを起こす症候群を痛風という…

なんだか頭が痛くなるような定義ですね。

我々生物(いきもの?なまもの?)は数多くの細胞から成り立っています。
この細胞1つひとつの中にある”核”。その核のなかの遺伝子を構成している成分を
”プリン体”と、いいます。
このプリン体の多い食べ物をたくさんとり過ぎたり、腎機能が低下し、尿酸を排出する
能力が低下していると、血液中の尿酸値が上昇します。

特にアルコールは、ビールだけでなく、血中尿酸値を上昇させます。
他に激しい運動も同様です。

高尿酸値血症は中年男性に多く(85%)、全国で約60%も患者さんが
いらっしゃいます。同じ量でも細胞数が多いほどプリン体は多く入っています。

ビール片手にもつ煮込みや枝豆…。
我々中年男性にはつらいですね。

逆に、肥満の改善やバランスの良い食事、適度な運動は、
尿酸値を下げる効果があります。

いまは緑の美しい気持ちの良い季節です。
近所の緑を見にお散歩でも行きましょうか!?

9弾

シリーズ生活習慣病 第09弾!2007.04月号

「前から気になっていました。今日は勇気を出して受診に来ました!」

こうおっしゃって、当院へ受診に来られる方が増えてまいりました。
と、当時に、例外なく糖尿病などの生活習慣病が見付かり、その後も通院されております。
でも、『今なら治せる!』と、いう方が殆どです。心筋梗塞・脳梗塞を起こさずにすむ段階で
早期発見・治療が行えているので本当に良かったと思っています。

さて、今まで糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満などのお話をしてまいりましたが、
もう1つ、意外に軽く見られがちな疾患が高尿酸血症(※)です。

「ちょっとくらい尿酸値が高くても…。」
「たまに痛風発作が起きるけど痛み止めの薬さえもらえれば…。」

いえいえ!最近は糖尿病などの疾患に加え、高尿酸血症も動脈硬化を進める ことがわかってきました。
また、尿路結石も起こしやすく、痛風発作同様大変痛い思いをします。
実は私も痛風家系。お互い食生活は注意が必要です。

採血結果を見てください。尿酸値(UA)が7.0を越えてきたら…
そのうち本当に痛い目に…

すぐに、”薬でコントロール”ではなく、まずは管理栄養士と相談しながら、
食事と生活の見直しで尿酸値を下げていきましょう!

  • ※高尿酸血漿…プリン体を多く含む食事をとりすぎたり、プリン体代謝異常により、血液中の尿酸値が上昇してしまう疾患。関節炎、腎結石、腎障害を起こす。

8弾

シリーズ生活習慣病 第08弾!2007.03月号

肥満やアルコール・過食によって内臓脂肪、特に肝臓に脂肪がたまる脂肪肝。
昔はあまり気にされなかった病気なのですが…今は治さないといけないことがわかってきました。

C型肝炎やアルコール性肝炎がいずれ肝硬変になることは広く知られているようですが、飲酒習慣のない人でも脂肪肝炎→肝硬変になる、「NASH(非アルコール性脂肪肝炎)」と、いう疾患があります。
1980年、ルーディッヒが発見して以来、90年から研究が進み、かなりこの疾患が多いことがわかってきました。
15年前は12%だった脂肪肝の人も、今では30%以上が健診でひっかかる中、NASHの可能性のある人は、このうちの10%といわれております。

「自分はそんなの太ってないから大丈夫。」と、思われがちですが、日本人はBMI(※)が25いかなくてもこれが多いことがわかってきました。
また、「高タンパク・高エネルギー(カロリー)・安静」と、いう昔の治療方針は今や変更が必要で、
管理栄養士による、個々にあった食事療法の指導が必要となる時代となりました。

少しでも肥満や肝機能異常値がある方は、ぜひ診断していただき、内臓脂肪をなくしましょうね。
ちなみに私も昔は脂肪肝がありましたが、見事!ダイエットで治しましたよ!!

7弾

シリーズ生活習慣病 第07弾!2007.02月号

「先生、新聞にすごく厳しい基準が載っていたけど、本当?」と、ある日患者さんに質問されました。
これは、「糖尿病に代表される生活習慣病をいろいろ合併していると、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすいので、もっと基準を厳しくして実験してみましょう」という、全国3000人を対象とする、J-DOIT(ジェイードゥーイット)3という臨床実験です。

どのくらい厳しいかは下記表にまとめてあります。

(1)体形と(2)HbA1cはよいとしても、(3)血圧と(4)中性脂肪、そして、特に(5)LDLは最高レベルに厳しいですね。
でも私はこのJ-DOIT3くらいに下げる事は大賛成です。

さらに言えば、(2)HbA1cは5.5%未満までに下げると動脈硬化は進まないと言われていますので、
皆さんも平穏無事に生活するために、健診の結果をもう一度見直して、J-DOIT3以上でしたら、専門医に相談しましょう。

6弾

シリーズ生活習慣病 第06弾!2007.01月号

最近話題のメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)。簡単に説明すると、肥満があり、
ウエストが男性85cm、女性90cm以上の人で、高血糖・高血圧・高脂血症のうち1つある人を
その予備軍(1020万人)、2つ以上ある人を有病者(940万人)とし、いずれ心筋梗塞や
脳梗塞を起こしやすいですよ、というお話。
ここで割り算の問題。40歳以上の成人は5700万人、すると・・・えっ!
3人に1人が予備軍以上の指導対象者!?
また女性のウエストが90cm→73cm~77cmくらいに変更になる可能性が出てきましたので、
さらに対象者が増える事は必至です。「皆がそうなら、まぁいいか」という考え方、甘いです。
必ず将来大変なことになります。そこに至るまでに症状が出ないのがこの生活習慣病の怖い所です。
このコラムをお読みになって当院の管理栄養士・糖尿病療養指導士・健康運動指導士・看護師
及び受付と私の指導を受けられた方々から「このまま放置していたら恐ろしかった」と感謝されると
スタッフ一同、医療従事者冥利につきます。一緒に頑張って治しましょう。ちなみに当院スタッフは
12名おりますので、あっ・・・本当ですね、3人に1人!

5弾

シリーズ生活習慣病 第05弾!2006.12月号

これまでお話ししてきた事を受けて、来院された患者さんの多くが血圧が高かったのに放置していた、
という状況でした。そこで、今回のテーマはズバリ「血圧はいくつにすればよいの?」 です。
外来にいらして測るとなぜかいつもより高い(白衣性高血圧)方、逆に家では高いのに病院では低く
出てしまう(逆白衣性高血圧)という方、さまざまです。実は外来での血圧はあくまで参考値、大切なのは家庭での血圧測定です。指や手首で測るタイプではなく、腕に巻くタイプを購入してみてください。

そして、重要なのは朝起きてすぐと寝る直前です。日常生活の中で、我々の血圧は大変上下しています。
昼間傷ついた血管は、夜中睡眠中に修復されます。寝る前や早朝の血圧が高いと動脈硬化が進み、いつか心筋梗塞や脳梗塞を起こします。そこで特に糖尿病のある方は130/80mmHg未満、尿タンパクが出ているような腎臓機能障害のある方125/75mmHg未満を目指さなければいけません。
けっこう厳しい!ですが守らないと将来必ずアクシデントが起こります。ちなみに成人の4人に1人が高血圧症です。減塩、減量、運動を頑張りましょう。

4弾

シリーズ生活習慣病 第04弾!2006.11月号

界型糖尿病(HbA1cが5.0~5.8%位)の可能性のある方は安心せず精密検査を受けましょう、と前回書いたところ
「心配になってきた」「うちの主人の結果が・・・」と多くの患者さんの声をいただきました。
そこで、シリーズで生活習慣病について連載したいと思います。

今回は皆さん聞き慣れてはいるけど、よく判らないコレステロールについてです。
実は よく言うコレステロールとは総コレステロール(TC)の事で、簡単に説明すると「全ての脂質の合計」、つまり、あまり意味がありません。現在は悪玉(LDL)・善玉(HDL)コレステロール、そして中性脂肪と(TG)と、この3者それぞれの値が重要です。といっても健診では、TC、HDL、TGのみ。肝心の悪玉LDLコレステロールが出ていない事があります。そこで、今から下の計算式を参考に一度出してみましょう。
LDLは病気の合併により正常値が変わりますが、低いほど動脈硬化を起こしにくいのです。
ちなみに糖尿病があやしい方はLDL120mg/dL未満を目指しましょう。

3弾

シリーズ生活習慣病 第03弾!2006.10月号

前回お話した糖尿病になりかけの、「境界型糖尿病」の方が非常に多いという内容を読まれ、心配された方々が数多く来院されましたが、例外なく皆さん境界型でした。すでに完全に糖尿病になっている方もいらっしゃいました。

「ホームページを読んでよかった」とおっしゃっていただき嬉しさ半分、まだまだ隠れ糖尿病の方が多くいらっしゃるのだろうと心配いたしました。
中には「境界型ならまだOKでしょ?」と思われている方が多いですが、ダメです。いきなり断言してしまいましたが、日本人の偉大な研究である久山町スタディーによれば、正常な人に比べ、境界型で2倍も(完全な糖尿病で3倍)心筋梗塞などを引き起こす危険があることがわかっています。
このような場合、糖負荷試験(75gOGTT)というものを行い、血中インスリン濃度を分析し、治療方針、作戦を練ります。

何をかくそう、ウチの職員にもHbA1cが5%を「知らぬ間に」越えているスタッフがおり、今必死に食事・運動療法をやっています。皆さんも怖がらず、一度専門家に見てもらいましょう。
ちなみに今(境界型)ならきちんとがんばれば、よくなるケースがほとんどです。

2弾

シリーズ生活習慣病 第02弾!2006.09月号

前回に引き続き「糖尿病」についてのお話をします。
現在、糖尿病の患者さんは740万人、境界型糖尿病(いわゆる予備軍)の人を含めると、
日本の成人6.3人に1人、花粉症と同じ位の国民病となっています。
「糖尿病になっている」のに認識がなく、医療機関を受診していないケースが多いのが問題です。
先日も外来で「データが気になるから夫の精密検査をして欲しい」とデータを見せられ驚きました。
すでに糖尿病になっていたのです。
健康診断では、空腹時血糖(正常値110mg/dl未満)しか測らない場合もあり、値が109でも「正常」と判断されます。しかし、完全に正常の方のほとんどは100を越えません。
そのため、糖負荷試験でインスリン濃度までチェックしたり、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)といって過去1~2ヶ月の血糖の平均を測るのが重要です。
この時、HbA1c(正常値4.3~5.8%)が5%台だと境界型の可能性が高いです。
運動不足で太り気味の方、血縁に糖尿病の方がいる場合、あるいは健康診断でHbA1c5.0~5.8%の方も境界型の可能性があります。
ぜひ一度精密検査を受けてみて下さい。

1弾

シリーズ生活習慣病 第01弾!2006.08月号

シリーズ第一弾のお話は、当クリニックに通う方の大半を占める疾患「糖尿病」についてです。
この「糖尿病」、どのくらいの人がなるのかご存知でしょうか?
厚生労働省が5年に1度統計を出していますが1998~2003年の調査では全国に糖尿病患者さんは740万人、糖尿病予備軍(正式には“境界型”といいます)の方を含めると、成人の6.3人に1人がこの病気になっているという計算になるとのこと。

ときどき当クリニックに、「私は今まで健康診断で糖尿病といわれたことは、ありません。」とおっしゃる方が来られます。この糖尿病の診断基準や検査の技術は年々進歩しています。何年か前は“大丈夫”といわれても、現在の診断基準や検査からいえば、実はそのときから立派な糖尿病または予備軍となっていることが本当に多いのです。(私はいつも悲しく思います)
糖尿病は早期発見早期治療が出来れば、そう怖い病気ではありません。
放っておくことが一番怖い病気ですので、“もしかしたら”と、気になる方はどうぞお気軽にご相談下さい。

このホームページを通して話題提供してまいります。
糖尿病に限らず他の生活習慣病についてや、健康に関する楽しい話題などいろいろ取り上げていく予定です。
どうぞお楽しみに!!