シリーズ・ザ・生活習慣病

64弾

シリーズ生活習慣病 第65弾!2011.11月号

「炭火焼き」

先日、診察時に患者さんから唐突に
「先生、インスリン(注射)にするよ!」と、宣言が。

『某テレビの放送を見たのだな』と、スタッフに目配せするとニヤリ。
伺うと、その方はテレビを見て『1ヶ月間インスリンを打てば糖尿病は治る!』と、
思い込んでいらっしゃいました。

インスリンは血糖値を下げるホルモンで、体内では
膵(すい)臓のβ(ベータ)細胞というところで作っています。

糖尿病(2型)が発症すると、血糖値が高くなりますが、
実は、そのβ(ベータ)細胞の半分近くが、高血糖という攻撃によるダメージを受け、
働きが悪くなってしまっているからなのです。

早いうちにインスリン治療をすれば、速やかにかつ確実に血糖値が下がるので、
β(ベータ)細胞への攻撃は減り(もしくはなくなり)、ダメージから回復します。

また、体外からインスリンを補充しているので、体内のインスリンを作るβ(ベータ)細胞が
休憩をとることが出来ます。よって、しばらくすると、体内でのインスリンが昔のように出始めて
自力で血糖値を下げられる→インスリン治療を卒業!
・・・という理論です。

もし私が糖尿病発症となったら、迷わずインスリン治療を行うでしょう。

『先生、だったらさっさとインスリンを・・・』と、恨み節の入りつつあるなか
インスリン治療についてアレコレ説明すると、「・・・面倒だねぇ」。

インスリン治療、やはり人気がありませんね。
患者さんからインスリン治療についての意見を伺うと、よく出るものが…

①イメージが悪い (糖尿病がヒドイ人みたいに感じる!?←いやそうならないためのもの…)
②針が怖い (採血の針のような太い針だと思っていた?実際は縫い針より細くて痛くないぞ)
③お金がかかる (コレは事実です。でもこれで糖尿病がよくなれば、むしろ先々は安くなるかも…)
④打ち始めたらやめられない (それは導入時期が遅すぎるため!早く始めればやめられます!)
⑤面倒くさい (薬を飲むのは一瞬だが、注射は手技が色々とある。←それはそうかも…)

…などと、様々な意見をいただきます。

一部、それは誤解ですよと、(  )で突っ込みを入れてしまいましたが、
なかなか受入れていただけないのもうなずけます。
とはいえ、治療としては最高のお薬というのは間違いありません。

ただし、『1ヶ月で』急激に血糖値を下げることは危険です。

1ヶ月で、HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー=1~2ヶ月の血糖の平均値)を、
早くても1.0%未満の改善で治療をすすめていかないと、血管に無理がかかり、
特に眼の血管が出血(眼底出血)してしまうこともあります。

何事も、『 ゆっくり ・ しっかり ・ 確実に 』が基本です。

最近、我が家の庭で炭火焼きをよくします。
炭に火が入るのはゆっくりで時間がかかりますが、一度火がつけば、
しっかりと確実に燃え続け、それを見るのはなかなか素敵です。

糖尿病の治療のようですね。