Kaneshiro Diabetes Clinic

糖尿病・生活習慣病の専門内科
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Kaneshiro column 院長コラム

シリーズ・ザ・生活習慣病

理事長の金城が、最近のできごとや今ホットな話題とともに、みなさまの健康にちょっと役立つ情報をお届けします。

シリーズ生活習慣病 第66弾!

「インスリンと養子」

前回のインスリンの話題はものすごい反響で、『自分で注射をしたい』という
患者さんが後を絶ちませんでした。
今までどんなに熱心にすすめても、『はい』と言わなかった患者さんでも、
嬉々としてインスリンの打ち方を習う姿には、やや複雑な気持ち…。

とはいえ、当然のことですが、皆さん血糖値は改善し、スタッフと手を取り合い
喜んでいらっしゃいます。

しかし、世の中には理不尽な落とし穴が…。
金城先生がいつも怒りをあらわにする事件簿がいつくかあります。

「インスリンと判り、面接で落とされました。」

低血糖をおこすと大惨事になる飛行機のパイロットならまだしも、
一般的な労働は全く問題無いことは、これを読んでくださる方なら
すぐ御理解いただけるはず。差別もいいところですよね!

ましてや糖尿病の方が就職出来ない世の中にでもなれば、
日本の労働者の2割は失業します。

「インスリンの方は無理、と言われ、親が施設に入居出来ず…。」

急性アレルギーショックから命を救う、[エピペン]という携帯用注射は、その場にいる人が
誰でも打つことが出来る、いわば[AED]同様に医療行為にあたりません。
それなのに、インスリンは医療行為のため、介護スタッフは注射出来ないからと、
本当はインスリン注射が必要なのに、入居したいために飲み薬だけで治療を続けて
高血糖が続いている…考えられない悪法です!

去年の9月、サンフランシスコ郊外の公園に「親子の人種が違う」家族の写真が新聞に。
国際養子のNPOでめぐり合った、ニコニコ顔の親子の姿…。
とても感動致しました。

養子という選択肢がごく普通に語られる日が来ることを願いつつ、
「ああ、インスリンの人ね。別に問題ないですよ。」という言葉が
ごく普通である日が来ることも、願わずにいられません。

今年も頑張って行きましょうね。

シリーズ生活習慣病 第65弾!

「炭火焼き」

先日、診察時に患者さんから唐突に
「先生、インスリン(注射)にするよ!」と、宣言が。

『某テレビの放送を見たのだな』と、スタッフに目配せするとニヤリ。
伺うと、その方はテレビを見て『1ヶ月間インスリンを打てば糖尿病は治る!』と、
思い込んでいらっしゃいました。

インスリンは血糖値を下げるホルモンで、体内では
膵(すい)臓のβ(ベータ)細胞というところで作っています。

糖尿病(2型)が発症すると、血糖値が高くなりますが、
実は、そのβ(ベータ)細胞の半分近くが、高血糖という攻撃によるダメージを受け、
働きが悪くなってしまっているからなのです。

早いうちにインスリン治療をすれば、速やかにかつ確実に血糖値が下がるので、
β(ベータ)細胞への攻撃は減り(もしくはなくなり)、ダメージから回復します。

また、体外からインスリンを補充しているので、体内のインスリンを作るβ(ベータ)細胞が
休憩をとることが出来ます。よって、しばらくすると、体内でのインスリンが昔のように出始めて
自力で血糖値を下げられる→インスリン治療を卒業!
・・・という理論です。

もし私が糖尿病発症となったら、迷わずインスリン治療を行うでしょう。

『先生、だったらさっさとインスリンを・・・』と、恨み節の入りつつあるなか
インスリン治療についてアレコレ説明すると、「・・・面倒だねぇ」。

インスリン治療、やはり人気がありませんね。
患者さんからインスリン治療についての意見を伺うと、よく出るものが…

①イメージが悪い (糖尿病がヒドイ人みたいに感じる!?←いやそうならないためのもの…)
②針が怖い (採血の針のような太い針だと思っていた?実際は縫い針より細くて痛くないぞ)
③お金がかかる (コレは事実です。でもこれで糖尿病がよくなれば、むしろ先々は安くなるかも…)
④打ち始めたらやめられない (それは導入時期が遅すぎるため!早く始めればやめられます!)
⑤面倒くさい (薬を飲むのは一瞬だが、注射は手技が色々とある。←それはそうかも…)

…などと、様々な意見をいただきます。

一部、それは誤解ですよと、(  )で突っ込みを入れてしまいましたが、
なかなか受入れていただけないのもうなずけます。
とはいえ、治療としては最高のお薬というのは間違いありません。

ただし、『1ヶ月で』急激に血糖値を下げることは危険です。

1ヶ月で、HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー=1~2ヶ月の血糖の平均値)を、
早くても1.0%未満の改善で治療をすすめていかないと、血管に無理がかかり、
特に眼の血管が出血(眼底出血)してしまうこともあります。

何事も、『 ゆっくり ・ しっかり ・ 確実に 』が基本です。

最近、我が家の庭で炭火焼きをよくします。
炭に火が入るのはゆっくりで時間がかかりますが、一度火がつけば、
しっかりと確実に燃え続け、それを見るのはなかなか素敵です。

糖尿病の治療のようですね。

シリーズ生活習慣病 第64弾!

「サラダが消えた?」

「先生っ、緊急です!」

スタッフの声に急いで電話を代わると、
『あ…先生、○○です。30分前から胸が押し付けられるような状態が…』
と、聞きなれた患者さんの声。

間違いなく狭心症、手遅れになると心筋梗塞…

「昼間だからどの病院も大丈夫、すぐに救急車を!病院に着いたら、
そこの先生に、金城へ連絡してくださいと伝えてね!」

彼女の糖尿病は境界型ですが、若い頃は高血圧と高コレステロールを放置。
ここ数年の通院でやっと薬がマッチして良い数値になってきた、
10年来の飲み仲間でもある患者さん。

運ばれる病院宛に、診療情報のFAXをしたためていると、ほどなくコールバック。
ええ!?なんと本人から!?

『治まったから、まだ救急車呼んでないんだけど…』

んもう!バカモノー!!と、怒鳴りたくなるくらいの焦りを抑え、
救急車を呼びたくない気持ちを理解しつつも説得し、心臓の専門医の一人に緊急連絡。
さすが、いつも御信頼申し上げている先生だけあって、二つ返事でスタンバイ。
一刻も早く私を安心させたかったのか、まさかの速さでその先生からメールでの第一報が…

”心臓の一番大事な血管が、動脈硬化で50%詰まっていました。”
心筋梗塞をおこさなかったのが、不幸中の幸いでした。

その夜、入院中の彼女を除く、いつもの飲み仲間が集まり、
以前彼女自らが葡萄を搾ったというワインを開け、無事を祈りました。

翌日退院した本人に伝えると、
『そういえば、あの先生も金城先生の飲み仲間だとか言って(笑)』

糖尿病は境界型と軽くても、高血圧、高コレステロールなどの病気が重なると、
思わぬ大病を招くことがあるのです。
やはり日頃から食事や運動に気を配り、健康的な生活をするのが一番ですね。

そう思って、ランチに野菜サラダを買いにいくと、
ない!サラダがない!!もう売切れたぁ!!

世の中の皆さん、やはり野菜は健康の第一歩ですよね、お見事です。
じゃあ、プチトマトでも買うかな…。
スタッフの分も買うと喜ぶだろうな。

シリーズ生活習慣病 第63弾!

「北海道」

やっと涼しくなりましたね。

今年の夏は、『節電で暑い日射しにじっと耐え』。
我が家では、8月の電気使用量が、前年比の53%に!かなり優秀!!
窓を開け、網戸に蚊や虫が来ないよう、蚊取り線香を焚き、
クーラーをやめて扇風機と扇子に頑張ってもらい、机の上にはクーラーポットの冷たいお茶。
意外に子供の頃の生活が懐かしくもあり、慣れれば耐えられるもんだなぁと、
汗して勉強していた頃を思い出しました。

などと言いつつも、夏休みに家族で北海道へ旅行に出掛けると…

こちらと比べて気温が10℃以上も差があり、
なんと過ごしやすい気候かと、堪能致しました。

気候も大事ですが、食生活や運動も大事な要素。

昔はこんなに食事が安くて豊富ではなかったし、車などの交通手段も発達していなかったため、
低カロリー&高運動量の健康的な食生活でした(高塩分というのは残念なのですが)。

今はその逆、高カロリー&低運動量。
高度経済成長から肉食が増え、脂肪摂取量が増え、歩く機会は少なくなり…。

などと思っていたら、最近では牛肉が売れなくなり(私は気にせず食べてます)、
畜産農家には誠にお気の毒なニュースがもう一つ。

『男性は、魚をよく食べる方が糖尿病になりにくい』
と、いう疫学調査が発表され、益々と…。

いやいや実際には偏った食生活はいけません。
お肉も大事な、良質たんぱく・ビタミン・鉄分の源。それぞれの食材にはそれぞれの食べる理由があるのです。
「あれは良い」、「あれは悪い」と、情報に惑わされることなく、カロリーと塩分を控えめにし、
栄養のバランス良く、食事をいただきましょう。

そういえば、北海道ではいっぱいお魚と野菜、じゃが芋をいただきました。
これからしばらくは、お肉三昧で(笑)

真似してはいけません…。

シリーズ生活習慣病 第62弾!

「お遍路」

私の上司の中島先生は、横須賀で開業(中島内科クリニック)しております。

そのクリニックの廊下には、なんと中島先生の顔面血だらけの写真が貼られています。

この夏、高知県へお遍路に行き、雨の翌日のとある坂道で足が滑り、なんと崖から落ち…!
…そうになったところを顔面で身体を支え、九死に一生を得たとのこと。

『あまりにも辛くて何度もくじけそうになった。しかし、次の宿までなら…と、
短い目標を立てれば何とかクリア出来ることを体験出来た。』

この話を、来院される患者さまに語り、『糖尿病の治療という長い長い道のりを、
短期の目標を積み重ねて行くことで、諦めずに一緒にクリアして行きましょう』
と、伝えているそうです。

さすが、”我が師”と感じました。

お遍路といえば、同じように過酷な運動に明け暮れる、学生のクラブ活動。

若いから大丈夫・脱水予防にと、2リットル入りのペットボトルの
スポーツドリンクやジュースなどの清涼飲料水をガンガン飲んで…意識不明!
いわゆる、”ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトアシドーシス)”です。

市販の清涼飲料水の中には100mlあたり5~10グラム程度の糖分が含まれています。
それを2リットルも飲むということは、下手すると100~200gの砂糖を食べたということです。
3グラム入りのスティックシュガーで言えば、33~66本!!
急性の糖尿病となり意識障害がおこる場合があるのです。

糖尿病の遺伝因子を持っている子供は当然ですが、”ペットボトル症候群”は
誰でもなる可能性があり、予測できません。
(常に血糖値を測っているわけではないのですから。)

脱水予防には、まずはお水やお茶が一番!
喉の渇きを感じる前に、小まめにとることが重要です。

必ず皆さん守ってくださいね。

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