Kaneshiro Diabetes Clinic

糖尿病・生活習慣病の専門内科
かねしろ内科クリニック

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Kaneshiro column 院長コラム

シリーズ・ザ・生活習慣病

理事長の金城が、最近のできごとや今ホットな話題とともに、みなさまの健康にちょっと役立つ情報をお届けします。

シリーズ生活習慣病 第57弾!

「母の教え」

NHKためしてガッテンの1999年度の糖尿病部門を1年間監修したことがありました。

TVの影響力は強いもの。
だからこそ正しい情報を分かりやすく伝えることが、とても大切なことなのに、
番組によっては、視聴率狙いかのような、インパクトはあるけれど、
中身は『…?』なものを見ると、苦い思いがいたします。

「昨日TVで○○がいいって。」、「○○っていいのね。」
など、根拠があるのかどうかわからない情報に惑わされる患者さん。
自分の病気を良くしたいと思う一心で、一生懸命情報を集めようとしている姿に、
「そんなに良い治療があれば、我々が真っ先に紹介しますよ。」と、
いつしかウチのスタッフも口癖に。

私の母も然り。
実家に立ち寄ると先ずはお抹茶が出ます。
そのあと、仕入れた知識でお茶うけを出しつつ、「これは○○にいいのよ。」と、
TVの受け売りを、私の顔を見れば口にするのです。

「もう世界中の食べ物が出たんじゃない?」と、笑うと、
「何言ってるの!お煎茶はねぇ、こうやってすり鉢で1回粉にしてい淹れると
綺麗な緑色になって葉っぱを最後までいただけるから、カテキンとかいう成分ごと
とれるのよ。お寿司屋さんのお茶みたいでしょう!」

お抹茶を2杯いただいた後の煎茶2、3杯を粉まで綺麗に飲み干す金城家。
当たり前の生活でしたが、TVで長寿の秘訣!と放送されると……

確かにLDL(悪玉)コレステロールは下がりますし、
腸内細菌の環境が良くなるので便通がよくなります。
母のお陰で知らず知らずお茶を飲む習慣がついていました。

3月から糖尿病専門医が増え、医師12名、総勢38名体制となります。
毎月の受診でお話をするうちに、知らず知らず皆様が良い生活習慣と
なりますよう、スタッフ一丸となり頑張ってまります!

シリーズ生活習慣病 第56弾!

「永遠の誤解 Part 3」

先月、先々月に引き続き、診察で繰り広げられてきた、
『永遠の誤解』と、いう名のよくある笑い話のご紹介、Part 3です。

今回は、インスリン治療について。
”食直前に打つタイプ”のインスリンを使っている方の話です。

永遠の誤解 ⑦ 「指示通りの単位のインスリンを打つ=血糖コントロールが良くなる」

これは、一見正解にみえて、落とし穴があります。

医師から指示されるインスリンの単位は、
『食事療法がきちんと出来ている』ことを前提として、考えられたものです。

1日3食、同じような時間帯に、栄養のバランス(主食+主菜+副菜)の揃った食事をしていると想定して
「○単位」と、決めてるのです。

これならば、いつも同じように血糖値が上がるので、いつもと同じ単位量のインスリンを打つことで、
上手に血糖コントロールが出来るのです。

ですから、食事療法が乱れている場合、いつも通りに血糖値が上がるとは限りません。

指示通りの単位のインスリンを打っても、食事量が少なければ低血糖になったり、
食事量が多ければ食後の血糖値がいつもより高くなったりと、
上手に血糖コントロールが出来ないかもしれないのです。

「先生から言われた通りのインスリンを打っているのに、低血糖になったり、血糖値が300なんてあったり…、全然良くならない!!」
と、いう方の場合、まずは食生活を振り返ってみましょう。
「そういえば…。」なんて、思い当たることがあるかもしれません。

他にも血糖コントロールが乱れる原因はいくつもあります。
どうぞお気軽にご相談ください。

永遠の誤解 ⑧ 「食前の血糖値が高い=インスリン注射量を増やす」

これは危ない!!

インスリン治療をされている方は、日々御自身で血糖を測っていただき(血糖測定器)、
治療の参考にするのですが、これが返ってアダになる場合があります。

「先生、こないだね、夕食前の血糖値が200もあったのよ。」と、いうような場合。
数字を見て、ビックリする気持ちはよく分かりますが、
「だからね、血糖値を下げなくちゃ!っと思って、食事を減らして、インスリン増やしたの。」とすると、
結局、「そしたら、夜中に低血糖になっちゃって。測ったら50だって…。」なんてことも。

食事をする=血糖値が高く跳ねあがる→
それを抑えるために、その量に見合ったインスリンを打つ、のです。
つまり、目の前にある食事に対して、インスリン量を決めるのが正解です。
私はよく、『インスリンは未来に向かって打って!』と、お話しています。

例えば、食事がいつもの半分ならば、血糖値があがるのもいつもの半分、
よって打つインスリンの量もいつもの半分と、考えます。
逆に、いつもより食事量が多かった場合は、インスリンも多くする必要があるのです。

その判断の結果が良かったのかイマイチだったかを、次の食事前の血糖値を測って確認し、次回また同じような状況のときの参考にする―血糖測定ノートにメニューや反省事項のメモをする―が、基本です。

応用編として、
「今度の日曜日、ハイキングで○時間歩きます。」など、いつもより運動量が多い場合。

運動もインスリンも血糖を下げる効果があります。
いつも通りのインスリン量を注射して、たくさん運動すると、
人によっては血糖値が下がりすぎて低血糖になってしまうことも。

こういう場合は、インスリンの単位を少し減らす必要があるかもしれません。
事前に是非とも医師に相談してください。

運動は、安全に楽しく!ですね。

難しい話だけれど、
”食直前に打つタイプ”のインスリンを使っている方は、是非とも理解して欲しいなぁ…

シリーズ生活習慣病 第55弾!

「永遠の誤解 Part 2」

先月に引き続き、診察で繰り広げられてきた、
『永遠の誤解』と、いう名のよくある笑い話のご紹介、Part 2です。

永遠の誤解 その④ 「サウナ=痩せられる」

これは危ない!

「サウナに行ったら2kg痩せて…。」
とんでもないですー!!
サウナで減るのは殆どが『水分』です。
『2kg痩せた』のではなく、『2リットル分の脱水があった』ということです。

サウナで脱水を起こした某有名歌手のように、脳梗塞や心筋梗塞になりかねません。
入るなら、お水をたくさん飲みながらにしましょう。

サウナでは脂肪は数グラム落ちる程度です。
正しくは、「サウナ=(ホンの少し)痩せられる」、ですね。

永遠の誤解 その⑤ 「味噌汁をお湯で薄める=減塩」

「味噌汁は、お湯を足して薄味にしています。」
…これでは、味は薄く感じますが、結局塩分は1人前取ったことに…。

それより、具(野菜やキノコ)を多くすれば、自然と汁の量が減るので、
美味しく減塩が出来ますよ。

また、具が多いと、その素材のうま味が出るので、本当に美味しく味噌(塩分)の量を減らすことが出来ます。

美味しく続けられる減塩のコツです。

永遠の誤解 その⑥ 「病気=栄養不足」

昔、食糧難の時代は、”栄養不良”による病気が殆どでした。
主に、結核や肺炎などの”感染症”と言われる病気です。

だから、「私、”病気”なの?!じゃあ、食べて精をつけなくっちゃ!と、いう考えで正解でした。

しかし、現在の”飽食の時代”と言われる時代には、栄養の摂り過ぎ(偏り)による病気が殆どです。
糖尿病(1型糖尿病を除く)や脂質異常症など、”生活習慣病”と、言われる病気です。

よって、現代は、「私、”糖尿病なの?!じゃあ、食べ過ぎないよう気をつけなくっちゃ!」
と、考えて欲しいのです。

そして、自分は何をどのくらい食べたらよいのか、栄養士さんから説明を受けて欲しいのです。

これも、是非理解して欲しいなぁ…。

シリーズ生活習慣病 第54弾!

「永遠の誤解 Part 1 」

かねしろ内科クリニックが開院して、6年目となります。
過去を振り返ってみると、様々なドラマがあり、
そんな中で繰り返し起こる、『永遠の誤解』と、いう名のよくある笑い話。
今回は、その一部をご紹介しましょう。

永遠の誤解 その① 「採血=必ず空腹で」

健診や人間ドックなどでは、空腹時の血糖や中性脂肪の値を調べるので、
つい、”採血は空腹でするもの”、と思われがちです。

しかし実は、糖尿病や脂質異常症の治療では、”食後の値”が大切なことが分かってきました。
色々食べてきて検査をすれば、「これって、こんなに血糖値をあげるんだ!」
「これを食べるとあがりにくいのね。」が、経験で分かるからです。

是非、食後採血をして、「今日は○○を食べて△時間後の採血だ。だからこうなんだ。」
と、御自身で分かるようになるといいですね。

特に、「空腹で来院してください。」と、言われない限り、食事をしてきて大丈夫ですよ。

永遠の誤解 その② 「朝食抜き=薬も抜き」

今度は、「空腹で来院してください。」と、医師から指示が出た場合。

糖尿病の薬の大半は、これで結構です。薬の効果が食事と関係あるからです。
食事する = 血糖値があがる → 薬で下げる ので、
食事抜き = 血糖値あがらない→ 薬要らない からです。

しかし、血圧の薬の場合は違います!
食事をしてもしなくても、血圧は薬を飲まないと上がってしまいます。
食事を抜いたとしても、いつもの時間に血圧の薬だけは飲みましょう。

その他の薬も、食事と関係なく飲むことが必要な薬がたくさんあります。
食事を抜く検査をする場合は、主治医もしくは薬剤師さんに必ず確認しましょう。

永遠の誤解 ③ 「間食はしなかったけど、○○は…」

糖尿病を持つ人は、血糖値が高く、次の食事の前でもなかなか血糖値が
下がらないことが大半です。
と、いうことは、体内のインスリンも、血糖値を下げる仕事が多くて働きっぱなし…。
間食がよくない理由はこれなのです。

それなのに、診察では、「だって、一口だけよ。」、「ガム1個だけなのに。」、
「アメをなめただけですから。」なんて会話がしばしば…。

血糖値は、その「一口」でも「ガム1個」でも、「アメ」でも上がります。
糖尿病のない方は、それに対して適切に体内からインスリンが出るので
大きな変動はないのですが、糖尿病のある人は、人によっては、
それだけで100近くも血糖値が上がることもあるのです。

これでは、血糖値を下げる時間がなくなってしまいます。
さらに、働きすぎているインスリンにますます仕事が加算されてしまうのです。

だから、「その一口でも”アウト!”」なのです。

これは、是非理解して欲しいなぁ…。

シリーズ生活習慣病 第53弾!

「労わりが大切」

すい臓には、『β(ベータ)細胞』 という、インスリンを作るところがあります。

そこが、何らかの理由で全く機能しなくなり、インスリンを注射が必要となるのが、
『1型糖尿病』です。
まだ我々の力が及ばず、完全治療が難しい病気です。

今回は、『β(ベータ)細胞』についてお話します。

本来、食事により上がった血糖に対し、必要な量のインスリンが数時間、
我々のβ細胞から出ます。

これを、『追加分泌』と、呼びます。

一方、食事をしていないときも、我々は筋肉を動かし、寝ていても心臓は内臓は自然に活動しています。
そのエネルギー源の糖を使うには、少量のインスリンがやはり必要で、
それを、『基礎分泌』と呼びます。

すなわち、β細胞は24時間、『基礎分泌』と、
朝昼夕の食事ごとの、『追加分泌』で、過酷な状況下におかれています。

10時や3時におやつをいただくと、β細胞曰く、
『また俺たち働くの?さっきインスリン出したばかりだよ。仕方ないなぁ・・・』
と、ボヤきながらお仕事をします。

1型糖尿病の方なら、間食のときにもインスリン注射が必要です。
しかし、注射をしていない方は、自らのβ細胞が頑張るしかありません。
ましてや、肥満や運動不足があると、インスリンの効きが悪くなり、
ますますインスリンの生産量を増やさないと・・・。

そうして、β細胞は過労が重なりギブアップ。
血糖値は跳ね上がり、さらに高血糖による糖毒性でβ細胞は攻撃を受けて・・・。
こうして全くインスリンが出なくなるのも時間の問題です。
食事と運動療法を守り、β細胞を労わってあげましょうね。

ちなみに、先月の11月24日で、このかねしろ内科クリニックは開院5周年!
スタッフも今まで働かせすぎたなぁ、労わってあげないと(汗;)。

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